種智院大学は、弘法大師 空海(お大師様)が東大寺などの官学が貴族など上流社会の人のためにだけあったものを否定し、広く一般民衆の教育機会を増やすという目的で成立した「綜藝種智院(しゅげいしゅちいん)」、わが国最古の私学を源流としています。 その理念は今も変わることなく、1200年間受け継がれています。
今日、とかく孤独で孤立しがちな若者が学生生活をそれぞれの目標で進んでゆけるよう、強い連帯感と慈愛に満ち、4年間見守り続けること、 学問のよりどころだけではなく心のよりどころとなることを理念としています。 また、中高年の方には気楽に勉学をなせる場所として、さらに教学の本山としての役目を目標としています。
つまり、本学は18歳から90歳以上の方までが利用できる親しみやすい場所であるべきだと考え、そうした学びの場を作ることがお大師様の遺志であると信じています。 また、女子の入学もこれまで以上にあってよいと考えています。福祉の考え方を仏教では慈悲と感謝にあると理解しています。他者のために自分が何をできるか、 小さくてもこれだけはしようと思う誓願こそが菩薩の心であり、それが自分に返ってくる。返ってきたものをまた、高めてゆく。 それは母性・父性の高揚にも繋がってゆくはずであると考えています。
ところで、本学のはじまりとする綜藝種智院とはなんでしょうか。「綜藝」とはすべて(総)の芸(学問)をさし、お大師様は顕教(密教以外の仏教)、密教、儒教を勉強することで 広く智慧の種を人々にまかれたのであります。「種智」とは智慧の種子であり、さとりであり菩提そのものであり、単なる知識ではありません。 例えば物を取りわけるのに定規や機器を使うのは知識です。これをふまえ、双方が納得するように取り分けるのが智慧であります。しかし、現代においてはそれを面倒なこととする争いが絶えません。 だからこそ話し合い、気持ちを解りあう智慧を学ぶことが必要とされます。このように、知識を利用し、智慧にまで高め、豊かな人間性を持つようになるための学び舎として 種智院大学はこれまで以上に発展していこうと考えています。
さらに、本学においては一人ひとりの個性や特性を重んじたいと思っています。 今まで学校や社会において、ひょっとして自分は他の人と大きく違っているのではないか、みんなについていけないのではないかと思っておられた方、 本学は人間は一人ひとりみな違っているのだ、それは決して奇異なものでも変わっているものではないと考えています。 物の見方や考え方は様々、それぞれであります。むしろ、それをのばしたり、他の考え方や見方の良いところを自分に取り入れられる教育の実践に取り組んでいます。 あなた次第で自らをもっと自由にできるかもしれません。ひょっとして今までとは違う日々と出会えるかもしれないのです。弘法大師 空海もそうでありました。